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マレーシアのららぽーとが失敗した理由

ツバキモトグループCEOの椿本です。
ちょうど日本とマレーシアの休日が重なって時間ができたので、久しぶりにブログを投稿します。
日々の活動につきましては、以下のツイッターをご覧いただければと思います。
https://twitter.com/tsubakimoto_k/

マレーシアのららぽーとがオープンして1年以上経過しました。
ららぽーとの東南アジア初出店ということで日本では大きな話題になりましたが、現時点でオープンしている店舗は半分以下、人もまばらな状態が続いています。


すでに1年以上このような状態が続いていますので、私はマレーシアのららぽーとは失敗したと結論づけました。
実は、オープン前の日本や現地の日本人の反応とは異なり、現地の事業会社やディベロッパーの間では概ねこのような状況になることは予想していました。
マレーシアのららぽーには致命的なミスが3点あります。

①ロケーション
現在のマレーシアのららぽーとがある場所は、昔は死刑場のあった刑務所です。
https://thesmartlocal.my/pudu-jail-facts/amp/
その前は埋葬地ということもあって、現地の人達は避けて通るような場所です。
マレーシアの人達、特に都心の消費を引っ張っている中華系のマレーシア人は縁起事には日本人よりも非常に気を使います。
チャイニーズニューイヤーには邪気を払うとされるライオンダンスをモールやオフィスなどのいたるところで行い、新しい年の無病息災を祈ります。
車のナンバープレートは縁起の良いとされる8や6で揃え、基本的にエレベーターには4の数字はありません。4階は3A階、14階は13A階となります。
そのような国民性のため、ららぽーとに行くと「次の日に蕁麻疹が出た」や「移動扉が勝手に開いた」といった噂話が絶えず流れています。
このロケーションの選定ミスが1点目です。

②アクセス
マレーシアのららぽーとは駅直結で電車でのアクセスは良いです。
一方で、車で行くには大通りから大きくUターンする必要があり、降車する場所も2ヶ所と非常に少なく不便です。
電車からのアクセスを重要視するのは日本の発想で、マレーシアでは車でのアクセスの方が圧倒的に重要度が高いです。
この車でのアクセスの悪さが問題の2点目です。

③設計とデザイン
マレーシアのららぽーとの店内はダウン照明を活用して、高級感のある落ち着いた雰囲気を作っています。
そして、店内はお客様に散歩させるかのような複雑な動線になっています。
私は定期的に視察に行っていますが、いまだに車の降車場や目的の店舗がどこにあるのかわからずに迷います。
この設計やデザインがマレーシアの人達の性格に合いません。
私がコンサルタントをしてるパビリオンモールの動線はもっとシンプルで、店内は明るく、開放的です。
他のマレーシア3大モールと呼ばれているサンウェイやミッドバレーも同様です。
この設計とデザインの問題が3点目です。

日本企業はマレーシア進出にあたって自分たちの目で現地を見て、話を聞いて、公平に判断するということが足りないと思います。
マレーシア進出を決断する際に、盲目的にららぽーとやクールジャパンがパートナーだから大丈夫という考えはないでしょうか。
実は、マレーシアにある日本企業や日本人の中で、現地企業に入り込んで消費者に直結するビジネスを展開している日本企業は意外に少ないです。
ですので、今回のような初歩的なミスを重ねて失敗することになります。
マレーシア進出を検討している日本企業は、アライアンス先を見極める際にはぜひこの点にご注目いただきたいと思います。

最後に、マレーシアのららぽーとの失敗によって多くの日本ブランドも共倒れしています。
しかし、ベーカリーのドンクやしゃぶしゃぶのしゃぶ葉など、出店場所を変えれば成功するブランドがいくつかあると私は思っていますので、ご興味のある企業様はぜひご連絡ください。

Tsubakimoto Group Sdn Bhd
Funder & CEO 椿本 健太
https://tsubakimotogroup.com/
https://twitter.com/tsubakimoto_k/

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