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マレーシアの「蔦屋書店」1号店が成功した理由

先月、マレーシアに蔦屋書店の1号店がオープンしました。
結果は以下の通り、大行列になりました。

今回の成功要因には、大きく4つの意思決定があると考えています。
まず1点目は、海外進出を決定したことです。
以下の日本経済新聞の記事によると、CCCの2021年3月期の連結最終損益は145億円の赤字、店舗数もピークの1500店から1100店舗にまで縮小しています。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO78938900U2A100C2TB1000/
日本で事業成長が見込めなくなったので海外進出というのが動機だと思いますが、私はこの考え方に関して完全に同意します。
日本は経済が縮小しており、限られた顧客を奪い合っている状況です。
一方で、日本ブランドやプロダクトはマレーシアで高く評価されており、日本の価格より少々高くても顧客はその価値よりも安いという理由で求められています。
物価に関してもマレーシアは東南アジアで最も富裕層の多い国で、年収400万円以上が約640万人も存在します。
クアラルンプールの一人あたりGDPはすでに3万USDを超えており、これはすでに大阪を抜いています。
その上、税負担も日本と比較すると低く、平均年齢も約29歳と非常に若い。
マレーシアの消費力は日本の主要都市以上と考えて良いと思います。
日本で成長が鈍化していても、そのブランドや商品の価値が落ちたということではありません。
市場の問題ですので、優れたブランドはどんどん海外に出て行くべきだと私は考えています。
少なくとも、マレーシアの人達は優れた日本ブランドを求めています。
マレーシアの消費力については、過去の記事に詳細を記載しています。
もしよろしければ、こちらをご覧ください。
https://tsubakimotogroup.com/マレーシアの市場性/243/

2点目は、マレーシア進出という決断です。
ここについても私は素晴らしい決断だと思います。
CCCはアセアンでの出店を加速する方針を打ち出していますので、その目標を達成するために東南アジアで最初にマレーシアに進出するという戦略は理にかなっていると思います。
上記の通り、まずマレーシアには日本ブランドに対するニーズがあります。
その上、マレーシアは多民族国家へのリーチが可能であり、東南アジアを引っ張る経済規模を形成しており、東南アジアの中心に位置し、英語が通じる。そして、コストパフォーマンスの高い人材の確保ができるという市場特性から、ASEAN展開を想定した場合の拠点として最適であると私は考えています。マレーシアの市場特性についての詳細は、以下をご覧ください。
https://tsubakimotogroup.com/マレーシアの市場性/293/

そして、3点目はパビリオングループとパートナーシップを組んで、商業施設「Pavilion Bukit Jalil」への出店を決めたこと、これも英断だと私は思います。
当社もパビリオングループと統括的なパートナーシップを構築し、私がパビリオングループのコンサルタントとして日本ブランドの進出をサポートしておりますが、パビリオングループはマレーシアを代表する不動産開発会社であり、彼らの運営する商業施設「Pavilion(パビリオン)」はマレーシアで最も良い場所、良いデザイン、良いテナント、ハイエンドの顧客を揃えた日本ブランドが出店する上で最良の施設であると私は考えています。
また、パビリオングループは日本への関心や知識も豊富で、日本や日本人に対する敬意も持ってくれています。
少なくとも私は、パビリオンは日本ブランドがマレーシアに進出する際のベストロケーションであると思います。

そして最後に、フランチャイズ展開を選択したことです。
フランチャイズ展開であれば小資本且つスピーディーなチェーン構築が可能となり、現地の制度やローカライズなどの市場特性上の問題も軽減できます。
特に、現地の優れた企業が主体的に事業を展開できることは、海外進出を成功に導く上で非常に重要なポイントになります。
マレーシア進出におけるフランチャイズ展開の有効性については以下に詳細を記載しておりますので、ぜひご覧ください。
https://tsubakimotogroup.com/マレーシア進出戦略/574/

今回の蔦屋書店のマレーシア1号店の成功は、完璧な海外戦略を立案したこと。
そして何より、その戦略を実行したことにあると私は考えています。

Tsubakimoto Group Inc.
CEO 椿本 健太
https://tsubakimotogroup.com/

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